3本の論文から何が言えそうか?
「呼吸の乱れはそれ自体にとどまらず、姿勢や神経系の異常として波及していく可能性がある。」
横隔膜自体のつながりや機能は非常に広く(1)
・横隔膜と骨盤隔膜は同期して動く
・筋膜などを通じて、頚部から骨盤帯まで広く繋がる
・臓器との連絡もある
・主な支配は横隔神経だが、神経系全体の関連も無視しにくく、迷走神経の経路との接点も指摘されている
このあたりから見ても横隔膜を単なる呼吸筋として扱うには視野が狭すぎる可能性を感じます。
また腰痛患者においては。横隔膜自体の可動性の小ささも指摘されています。(2)
そうなると、腹部や胸郭を適切に使えずに、肩や首、あるいは腰などで支持するような動きにつながってくる可能性もあります。
実際に、腰椎での代償の可能性は指摘されていたり(2)、呼吸トレーニングでの腰椎安定筋群の肥大があること(3)から、この可能性は十分にありそうです。
臨床での応用は?
横隔膜を「呼吸のための筋肉」としてだけ見るか、「身体を支える仕組みにも関わる筋」として見るかで、臨床の見え方が大きく変わりそうです。
例えば慢性腰痛患者では横隔膜の可動域の小ささが触れられていましたが、もう少し見ていくと、横隔膜のドームが高く維持されやすい事が確認されています。(2)これは横隔膜自体を呼吸筋として使うか、それとも姿勢筋として使うか、という視点から繋げて考えてみると、なかなかおもしろそうな印象です。
実際に筋力発揮するよう場面では特に横隔膜の動きのエラーが出やすい傾向にもあるため(2)こういった課題遂行時の別の部位での代償動作を見ていくことは、その方の癖を発見するのに役立つかもしれません。
そのあたりPRIの観点は非常に参考になるなと感じながらこれらの論文を眺めていました。
参考文献
(1)Bordoni B, Zanier E. Anatomic connections of the diaphragm: influence of respiration on the body system. Journal of Multidisciplinary Healthcare. 2013;6:281-291. doi:10.2147/JMDH.S45443
(2)Kolar P, Sulc J, Kyncl M, et al. Postural function of the diaphragm in persons with and without chronic low back pain. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy. 2012;42(4):352-362. doi:10.2519/jospt.2012.3830
(3)Finta R, Nagy E, Bender T. The effect of diaphragm training on lumbar stabilizer muscles: a new concept for improving segmental stability in the case of low back pain. Journal of Pain Research. 2018;11:3031-3045. doi:10.2147/JPR.S181610